今日は比較的暖かいです。ほっと一息ですね。
さて今回は、
「アトキンス式ダイエット(低インスリンダイエット)と糖質制限食は同じなのか、違うのか?」
という質問をよく受けますので説明したいと思います。
「低炭水化物ダイエット」「ローカーボダイエット」という言葉も、アトキンス式ダイエット(低インスリンダイエット)と同じ意味で使用されています。
まずは言葉の定義からですが、「炭水化物=糖質+食物繊維」です。
食物繊維は、人体に吸収されず血糖値も上げません。即ち、血糖値を上昇させるのは糖質ですので、本ブログではもっぱら糖質を使用します。
糖質を摂取すると、消化管から吸収されたブドウ糖は、門� ��血からまず肝臓に約50%取り込ま� �て、それ以外が血液の大循環に回ります。
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また、糖質を摂食して血糖値が上昇すれば、正常人では速やかにインスリンが大量に追加分泌されます。肝臓に取り込まれなかったブドウ糖は、肝静脈から血中に入り、動脈血中に入ったブドウ糖は、インスリン追加分泌により骨格筋や脂肪細胞に取り込まれます。
肝に取り込まれたブドウ糖は、インスリンによりグリコーゲンとして蓄えられます。筋肉細胞などに取り込まれたブドウ糖は、エネルギー源として利用されたあとグリコーゲンとして蓄えられます。
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しかし、余った血糖は中性脂肪に変えられ、脂肪組織(皮下脂肪と内臓脂肪)に貯蔵され肥満につながりますので、インスリンは、肥満ホルモンと呼ばれるわけです 。
ここで大切なのは、血糖値を上昇させるのは、糖質・タンパク質・脂質の3大栄養素のうち、糖質だけという生理学的事実です。
糖質を摂取しなければ、血糖値は上昇せず、インスリンの分泌もごく少量ですむので、肥満もしません。ちなみに脂質はインスリンを分泌させません。タンパク質はごく少量のインスリを分泌させます。
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この基本的な考えは、アトキンス式ダイエット(低インスリンダイエット)と高雄病院の糖質制限食の理論は同一であり、両者共に、糖尿病治療にもダイエットにも、著明な効果があります。
違う点で言うと、糖質制限食は、糖尿病治療のために考え出されたものです。現在まで高雄病院で450人以上の入院患者さん、1200人以上の外来患者さんのデータを検証し積み重ね、学術的な立場で糖質制限食の治療効果を確立させました。
従って、糖尿病患者さんと糖質制限食という観点においては、高雄病院には世界で最も多くのデータが揃っていると思います。
アトキンス式低炭水化物ダイエットは、文字通りダイエットを目的に考え出されたもので、外来通� �患者さんのデータや、肥満改善のデータは豊富にありますが、高雄病院のように、糖尿病入院患者さんの詳細な学術的データはありません。
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1999年に私の兄、江部洋一郎が高雄病院で初めて糖質制限食を開始した時は、「シュガーバスター」「砂糖病―甘い麻薬の正体」といった本や、探検家の植村直己さんのイヌイットの村での食生活体験記、愛媛の同級生釜池豊秋先生との会談・・・、などを参考にして出発したようです。
その後しばらくして、私が「アトキンス博士のローカーボダイエット」同朋舎 (2000/10)のことを知り、2002年頃に手に入れて読んでみました。
その結果、サプリメントや病原性イースト菌の話など、一部内容は、高雄病院の糖質制限食とは乖離していますが、基本線は同じであると思いましたし、参考にもなりました。米国で「Dr. Atkins Diet Revolution」の原本が出版されたのは1970年代初頭です。
さらに「バーンスタイン医師の糖尿病の解決」メディカル・トリビューン(2005/12)が出版され、こちらは著者が1型糖尿病ということもあり、糖尿病治療食としての糖質制限食という意味で、非常に参考になりました。
バーンスタイン医師は、1972年頃から糖質制限食を始められて、1999年に米国で原本を出版されています。
アトキンス医師とバーンスタイン医師は、米国の近年の糖質制限食(低糖質食)の先駆者といえます。
糖質制限食を実践していく中で、糖尿病のみならず、肥満、メタボリックシンドローム、脂質異常症、アレルギー疾患など、生活習慣病全般に効果があることがわかりました。
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私自身、2002年の糖尿病発覚時には、メタボリック・シンドロームの基準をしっかり満たしていましたが、半年で10kg減量して、全ての検査データが正常となりました。それ以後2010年2月現在まで、スーパー糖質制限食を実践しています。
糖質制限食により、代謝全てが改善するので、人体の自然治癒力が高まると考えられます。また血糖値、脂質がコントロール良好となるので、血� ��が毛細血管にいたるまで改善すると考えられます。
江部康二
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